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高速インターネットと肥満の関係 — ネット環境が健康に与える影響

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現代の生活に欠かせないインターネット。しかし、その回線速度が速くなることで、意外な影響があることをご存じでしょうか? オーストラリアのメルボルン大学などの研究チームによる調査では、高速インターネットの普及が肥満率の増加と関連していることが示されました。特に、座りがちな生活習慣の増加が肥満の主な原因と考えられています。本記事では、この研究結果をもとに、肥満が気になり始めた人に向けた食生活改善や運動習慣のポイントを紹介します。

研究対象と背景

この研究は、オーストラリア全土の「Household, Income and Labour Dynamics in Australia (HILDA)」という全国規模の長期追跡調査データを基に行われました。研究チームは、2006年から2019年までの14年間のデータをもとに、オーストラリアのNational Broadband Network (NBN) のブロードバンド回線普及データと比較しながら分析を行いました。

高速インターネットと肥満の関係

オーストラリアは、OECD諸国の中でも特に肥満率が高い国の一つとされ、成人の約3分の1、子供の約4分の1が肥満または過体重に分類されています。研究者たちは、各地域ごとのブロードバンドの普及率と肥満率の相関関係を詳細に調査し、高速インターネットの普及が生活習慣や身体活動にどのような影響を与えるのかを統計的に分析しました。

研究によると、高速インターネットの普及率が1%増加すると、住民のBMI(体格指数)が1.573ポイント上昇し、肥満の確率が6.6%増加することが明らかになりました。この影響は、個人の収入や家族構成よりも大きく、特に男性や若年層に強く表れる傾向があるとのことです。

では、なぜインターネット環境の向上が肥満につながるのでしょうか?

  1. 座りがちな生活の増加 – 高速インターネットにより、動画視聴やゲーム、SNSの利用が快適になり、長時間座り続けることが増えます。
  2. 日常生活の変化(オンラインで済ませる行動の増加)
    • オンラインショッピングの利用拡大 – 物理的な買い物に出かける回数が減り、歩く機会が減少。
    • オンラインコミュニケーションの増加 – 友人や家族とのやりとりもオンラインが中心となり、直接会う機会が減る。
    • 食事の変化 – フードデリバリーの利用増加により、カロリーの高い食事を選びがちになり、外食や加工食品の摂取が増える可能性がある。
  3. 睡眠の質の低下 – 遅くまでスマートフォンやパソコンを使用することで、睡眠時間が短くなり、食欲増加や代謝低下につながる。

日本での実例 — 消費が進んだ「ネット太り」フード

日本でも高速インターネットの普及により、生活習慣に大きな変化が見られます。特に、簡単に手に入る食品の消費が加速し、肥満リスクが高まっています。

フードデリバリーの急成長

  • Uber Eatsや出前館の利用が増加し、外食のための移動が減少。
  • 料理をしなくても簡単に食事を注文できる環境が整い、食事の内容が偏る可能性も。

若年層の食生活の変化

  • 20~39歳の男性の約31.5%が朝食を欠食し、バランスの良い食事を摂る機会が減少(農林水産省調査)。
  • 栄養バランスを意識しない食生活が増え、肥満リスクが高まる。

ながら食いと炭酸飲料の増加

  • 動画視聴やゲームをしながらポテトチップスやスナック菓子を摂取する習慣が根付く。
  • 糖分たっぷりの炭酸飲料を常備し、日常的に摂取することでカロリーオーバーに。

食事の質を上げれば、欲求は自然と減る

肥満対策には運動も重要ですが、何よりも食生活の改善が大きな鍵を握ります。食事管理のプロによると、「必要な栄養素が満たされていれば、ジャンクフードを食べたくなるような欲求はなくなる」とのこと。つまり、食べるものの質を上げることが、ストレスなく健康的な食習慣を築く秘訣です。

必要な栄養素を満たす食事を意識する

  • タンパク質(肉・魚・卵・大豆など)をしっかり摂る
  • 脂肪も良質なもの(アボカド、ナッツ、オリーブオイルなど)を適量摂取
  • 炭水化物も適度に摂り、極端な糖質制限を避ける
  • ビタミンやミネラルを意識し、果物(ベリー類、バナナなど)を取り入れる

極端な食事制限ではなく、バランスを取る

  • 一部の食材に偏る「単品ダイエット」は避ける
  • すべての栄養素を適切に摂ることで、長く続けられる食生活を作る

まとめ

高速インターネットの普及により、便利な生活を享受できる一方で、運動不足や食生活の乱れによる肥満リスクが高まっていることがわかりました。しかし、少しの意識改革と習慣の見直しで、健康的な体を維持することは可能です。

✅ 適度な運動を取り入れる

✅ バランスの良い食事を意識する

✅ 長時間のネット利用を控え、こまめに体を動かす

✅ 栄養素を満たし、ジャンクフードの欲求を減らす

便利なネット社会を健康的に活用し、快適な毎日を過ごしましょう!

参考文献・出典リンク
本記事の内容の一部は、以下の研究論文を参考にしています。
🔗 The fattening speed: Understanding the impact of internet speed on obesity, and the mediating role of sedentary behaviour
Michelle I-Hsuan Lin, Sefa Awaworyi Churchill, Klaus Ackermann, Economics & Human Biology, Volume 55, 2024.

🔗農林水産省 令和元年度 食育白書(令和2年6月16日公表) 若い世代における食生活の現状