私たちの健康に関する情報は日々進化しており、食生活の中で「何を食べるべきか」という議論が常に行われています。例えば、スーパーフードとして注目されるビーツやほうれん草は、健康に良いとされています。一方で、同じく食品に含まれる硝酸塩は、加工肉では有害と考えられています。これにはどんな違いがあるのでしょうか?この記事では、硝酸塩の基本から、健康への影響、そして賢い摂取方法までを詳しく解説します。
硝酸塩とは?
硝酸塩は葉物野菜に多く含まれている栄養素であり、1個の窒素原子と3個の酸素原子で構成されています。主に次の2つの供給源から摂取されます。
- 自然由来の硝酸塩
ほうれん草やチンゲンサイ、ビーツ、セロリなどの葉物野菜に含まれる。 - 人工的に添加された硝酸塩
ベーコン、ホットドッグ、ハムなどの加工肉に保存料や風味付けとして使用される。
なぜ加工肉に硝酸塩が添加されるのか?

加工肉食品に硝酸塩が添加されるのには、いくつかの重要な理由があります。まず、硝酸塩は強力な保存料として機能し、細菌の繁殖を抑え、食品の安全性を高める役割を果たします。特に、食中毒の原因となるボツリヌス菌の増殖を防ぐ効果があり、長期保存を可能にします。
また、硝酸塩は風味や色合いの維持にも重要です。例えば、ハムやベーコンの美しいピンク色は硝酸塩によるものです。これにより、見た目の良さを保ち、消費者の購買意欲を高める効果があります。
しかし、硝酸塩は加熱調理の過程でタンパク質と反応し、発がん性が指摘されるニトロソアミンを生成する可能性があります。そのため、近年ではビタミンCやその他の抗酸化物質を併用し、ニトロソアミンの生成を抑制する取り組みも行われています。
野菜が硝酸塩を蓄積するメカニズム

植物は、重要な養分としての窒素を土壌から主に硝酸塩の形で根から吸収します。吸収された硝酸塩は、光合成により生成された炭水化物を利用してアミノ酸へと変換され、最終的にタンパク質が合成されます。しかし、土壌中の硝酸塩濃度が高すぎたり、日光不足などの環境要因によってアミノ酸やタンパク質への変換が十分に行われない場合、植物体内に硝酸塩が蓄積されやすくなります。特に、生長期にある植物は成長に必要な窒素を大量に吸収するため、硝酸塩の含有量が高くなる傾向にあります。このため、葉物野菜などの成長が早い植物には、特に硝酸塩が多く含まれています。
それでは、硝酸塩の「良い面」と「悪い面」について見ていきましょう。
硝酸塩の健康メリット
植物由来の硝酸塩は、体内で一酸化窒素(NO)に変換され、以下のような健康効果が期待できます。
- 血圧の調整
一酸化窒素は血管を拡張し、血流を改善することで血圧を下げる効果が期待されます。 - 運動パフォーマンスの向上
筋肉に作用して筋力や筋持久力を向上させ、パフォーマンスを高める作用があるという研究結果が報告されました。 - 心臓病リスクの低減
1日60mgの硝酸塩(約1カップの生の葉物野菜に相当)を摂取することで、心疾患リスクが大幅に低下する可能性があるとされています。 - 抗酸化・抗炎症効果
野菜には硝酸塩に加えて、抗酸化物質や抗炎症作用を持つ栄養素が豊富に含まれています。
野菜に含まれる硝酸塩がむし歯予防をサポート
最新の研究によると、野菜に含まれる硝酸塩が口腔内の健康にも良い影響を与えることが明らかになりました。東北大学の研究チームによると、口腔内の細菌が硝酸塩を亜硝酸塩に変換し、プラークの酸産生を抑制することで、むし歯の予防に役立つことが判明しています(詳細はこちら)。特に葉物野菜に多く含まれる硝酸塩が、この効果を発揮することが分かっています。
加工肉に含まれる硝酸塩のリスク
一方で、加工肉に含まれる硝酸塩は、体内でタンパク質と反応し、発がん性が指摘されているニトロソアミンを生成する可能性があります。
- がんリスクの増加
世界保健機関(WHO)の報告によると、1日50gの加工肉(ベーコン5枚相当)を摂取すると、大腸がんのリスクが18%増加することが示されています(参考)。 - 自然由来でも注意が必要
「ナチュラル」「無添加」と表記された加工肉も、セロリパウダーなど天然由来の硝酸塩を使用していることがあり、同様のリスクがあることが分かっています。
硝酸塩の賢い摂り方
硝酸塩を健康的に取り入れるためのポイントを紹介します。
- 野菜を中心に摂取
- ビーツ、ほうれん草、ルッコラなどの硝酸塩を多く含む野菜を積極的に食事に取り入れましょう。
- ビタミンCと組み合わせる
- 抗酸化作用を持つビタミンCを一緒に摂取することで、ニトロソアミンの生成を抑制できます。
- 加工肉の摂取を控える
- 加工肉の摂取を週に1~2回に抑え、低温調理(電子レンジ加熱など)を活用しましょう。
- 栄養バランスを意識
- 野菜、果物、ナッツ、全粒穀物など、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。
まとめ 硝酸塩との付き合い方
硝酸塩は、摂取源によって健康に良い影響を与えるか、悪影響を及ぼすかが大きく異なります。野菜由来の硝酸塩は血圧管理や運動能力の向上に役立つ一方、加工肉に含まれる硝酸塩の過剰摂取はがんリスクを高める可能性があります。食生活を見直し、野菜中心の硝酸塩摂取を意識することで、健康的な生活を送ることができます。
今日からできること
- 毎日の食事に葉物野菜をプラスする
- 加工肉を控え、自然な食材を選ぶ
- 食生活のバランスを見直し、ビタミンCを意識して摂取する
硝酸塩を賢く活用し、健康な未来を手に入れましょう!